養生堂のスター・生姜くんが持ち込んだ、自分探しの漠然
とある日の、とある二つの物語
どてらい:はい、それでは今日もバク然らいぶらりの時間です。ハマナカさん。
ハマナカ:はい。
どてらい:さかさん。
さかまさみ:はい。
どてらい:投書が届いております……!
ハマナカ:嬉しいですね。
どてらい:読んでもよろしいでしょうか。
ハマナカ:お願いいたします。
本日のゲストは、元気いっぱいの生姜くん
どてらい:マイスターネーム・養生堂の生姜。
さかまさみ:ようじょうどうのしょうきょうくん⁉
どてらい:うわ! びっくりした!
さかまさみ:あ、すみません。よく行っているカフェの店員さんの名前だったので、つい……。
ここに書いてある養生堂って、すごく素敵なカフェなんですよ!
行くたびにメニューが違うんですけど、すごく優しい味わいで、おいしくて!
なぜか、その時の自分に足りないものを補充できてる感じがするんだよな~。すっごく疲れているときに、足が向いてしまうというか。
店主のクコさんも、スタッフの生薬さんたちもとっても優しくて。
ちょっと元気がないときに行くと、めちゃめちゃ和むんです!
そうそう、こないだなんか……
どてらい:さかさんがいつになく早口!
ハマナカ:これはオタクの口調ですね。
さかまさみ:はっ! すみません、パーソナリティともあろう者が我を忘れて……。
どてらい:そんなさかさんの行きつけ。養生堂の生姜(しょうきょう)くんからのおたよりです。
「こんにちは! いつも楽しく聴いております! 実は最近、自分のことがよくわからなくなっています。生姜には、生薬の『しょうきょう』と、食材の『しょうが』、ふたつの読み方があります。僕は普段『しょうきょう』として働いていますが、ふと、自分が『しょうが』の時もあるような気がして……。マイスターのみなさん。僕は『しょうきょう』、『しょうが』、どちらなんでしょうか?」
ハマナカ:これは面白い。自分の中に別の自分がいる、みたいなことを感じているということですね。いい漠然だと思います。
さかまさみ:(生姜くん、しっかりした文章書くんだな。意外だ……)
どてらい:せっかくなので、養生堂の生姜くん本人に来ていただきました! 今回のゲストは元気いっぱいの生姜くん! こんにちは!
生姜くん:ここここ、こんにちは……。わわわ、ワタクシは養生堂の生姜です……。
さかまさみ:生姜くん、めっちゃ緊張してる! お店では一番元気なのに!
どてらい:あ……しょ、生姜くん。きょ……今日はよろしくお願いいたしたましゅ……。
さかまさみ:どてらいさんにも伝染した! しかも噛んだ!
ハマナカ:ふたりとも賑やか担当だから、波長が合ってしまったんですね。うーん、なかなか興味深い。
さかまさみ:ふたりとも、深呼吸して! すー、はー。
生姜くん・どてらい:すー、はー。すー、はー。
「しょうきょう」と「しょうが」。薬膳の世界に境目はある?
どてらい:失礼しました。改めて、本日のゲスト・生姜くんです。
生姜くん:俺としたことが、はずかしい……。気を取り直して、今日はよろしくね!
さかまさみ:よかった、いつもの生姜くんだ。
ハマナカ:早速ですが、生姜くんは自分が生薬の「しょうきょう」か食材の「しょうが」かわからない、と、悩んでいるそうですね?
生姜くん:クコ先生から聞いたんだけど、もともとは俺、「しょうが」として生まれたらしいんだ。でも、物心着いた頃から養生堂で「しょうきょう」として過ごしているから、ピンときてない。
さかまさみ:でも、時折「しょうが」な気分になるってこと?
生姜くん:そうなんだよ~。境界がわからない、っていうのかな。俺はいったい何者なのか。考え始めると、自分がよくわからなくなる。
ハマナカ:うーん、面白いですね。生姜くん自身は、自分を「しょうきょう」と認識してるのに、それとは違う認識が、自分の中にあるという。
どてらい:以前、サブスタで薬膳に関する記事を読んだんだけど、薬膳学では明確な境目があるらしい。確か、店で売られている、生まれたままの生姜は「食材」。加工することで効能を強め、副作用となる面を抑えたものが「生薬」って書かれてた気がする。
生姜くん:どてらい。それ、クコ先生の記事だよ。
どてらい:ほんとだ、ドヤ顔で語っちゃった。恥ずかし!
完全な自分を目指すのは、いささか苦しい
ハマナカ:記事の内容とは少しアプローチが違うのですが、私はちょっと哲学的な見方をしているんですよね。
生姜くん:やった! ハマナカ先生の話、すごく聞きたかったんだ!
どてらい:ねえ、なんで俺は呼び捨てで、ハマナカさんは先生呼びなの?
ハマナカ:まず、話を整理すると、生姜くんは自分が「しょうきょう」か「しょうが」なのかを知りたい、ということでしょうか。
生姜くん:うん、そう。自分が何者かわからないって、むずむずするというか。
ハマナカ:なるほど。言い換えると、「『しょうきょう』か『しょうが』のどちらかに当てはまらなければならない」と思い込んでいるのかもしれません。
生姜くん:言われてみれば……。意識していなかったけど、「自分が何者か」を考えるって、そういうことなのかもしれないなぁ。
ハマナカ:ちょっと哲学的な考えに当てはめると、「完全な食材としての生姜」と「完全な生薬としての生姜」があり、自分がどちらに近いかを考えているのかもしれない。これは、大昔、プラトンという哲学者が提唱した「イデア」の考え方と似ています。
どてらい:だんだん難しい話になってきた。
生姜くん:いや、こういう展開はバク然らいぶらりっぽくていい……!
ハマナカ:ざっくり説明すると、イデアというのは永遠不変の「完全なモノ」で、今、私たちが見ている現実世界は、イデアをもとに創造神が作った「不完全なモノ」である。という考え方です。
どてらい:んん? ということは、現実世界って「不完全なモノ」ということですよね? 仮に「完全なモノを目指したい」と理想を掲げたとしても、現実とは乖離しちゃう気がするんですけど。
ハマナカ:そうですね。これを先ほどの「『完全な食材としての生姜』と『完全な生薬としての生姜』があり、自分がどちらに近いかを考える」という話に置き換えるとしたら、「食材として完全なのか」、「生薬として完全なのか」、「どちらに近いのか」といった、自己採点を繰り返すことになります。
生姜くん:うーん、ちょっとしんどいかもなあ。なんだか、心に余白がなくなっちゃいそう。
ハマナカ:そもそも、現実世界のあらゆるものが不完全で、完全にはなれない、と結論付けてしまうと、思考がそこで終わってしまって、あまり健康的な考えではないな。と思います。そこで、私は別のアプローチを提案したい。
生姜くん:さすがハマナカ先生!
「関係性」と「ワタシマルチアカウント理論」
ハマナカ:もう一つのアプローチとして、「関係性」に着目したいと思います。
どてらい:関係性?
ハマナカ:「モノ」には絶対的な正体があるわけではなく、「観測者」ほかの「モノ」との関係性に応じて変化する、という考え方です。
例えば、「観測者が具合がわるい時、ハチミツ入りショウガ湯を飲んだ」というシーンがあったとします。
ここでは、「健康になりたい人(=観測者)」と、「身体を整えるもの」という関係性ができている。そのため、観測者にとって生姜くんは「生薬的な存在」として認識されています。一方、「観測者がお寿司屋でガリをたくさん食べた」というシーンがあったとしたらどうでしょう。「食事をする人(=観測者)」と「食材」という関係性ができているから、「しょうが」として認識されるのではないでしょうか。
どてらい:ああ、そっちの考え方の方が好きかも。俺は「本当の自分なんてものは存在しない、自分以外の存在との相対関係によって、自分が構築される」って考え方だし。
生姜くん:あれ、これってもしかして……。
どてらい:どうしたの?
生姜くん:逆に、俺目線だと相手や状況によって「生薬アカウント」と「食材アカウント」を表に出している……バク然らいぶらりで研究してる「ワタシマルチアカウント理論」だ!
さかまさみ:え! もしかして生姜くんって、ヘビーリスナー⁉
生姜くん:最初、大棗が聴いてたのを横で聴いてたんだけど、ハマっちゃってさ。今ごろ、みんな養生堂で聴いてるはずだよ!
どてらい:え……じゃあ、先ほどの我々の醜態も……。
生姜くん:あ……。
“自分の切り替え”、ボリューム型? スイッチ型?
さかまさみ:今の話を聞いて、少し気になったんだけど、生姜くんって、自分で「食材アカウント」と「生薬アカウント」を切り替えてるのかな?
生姜くん:んん? と、言うと?
さかまさみ:「アカウントの使い分け」にも場面に応じて人格の濃さをじわじわ調整する「ボリューム型」と、別人格にカチっと切り替える「スイッチ型」で分かれると考えてて。私はボリューム型なんだけど、生姜くんもそうじゃないかな、と思って。
生姜くん:ああ、どっちなんだろ? でも、自分でカチッと切り替えてるつもりはないな。どてらいみたく、記憶を意図的に消すとか、ヤバい技も持ってないし。
どてらい:ねえ、さっきから俺に辛辣じゃない?
さかまさみ:私にとっての生姜くんは、白湯やスープに入って、身体をそっと助けてくれる存在なのね。食材なんだけど、普通の食材よりも、ちょっと身体を整える力が前に出ている。一方、生薬として加工された生姜くんは、身体を助ける力がもっと強く前に出ている。だから、「食材の生姜くん」が消えて「生薬の生姜くん」に入れ替わるというより、効能のボリュームが上がっているように感じるんだよね。
どてらい:食材性がゼロになって、生薬性が百になるわけじゃないと。
さかまさみ:うん。私が料理に使う生姜くんは、素材の姿から見ているから「おうちモードの生姜くん」という感じ。でも、誰かが効能に合わせて加工したものは、完成した状態で出会うから「お仕事モードの生姜くん」に見える。
生姜くん:なるほどなあ。確かに「しょうきょう」として働いている時も、「しょうが」の俺がいなくなった感じはしないかも。
ハマナカ:きっと、自分の性質はその時々で変化するので、相対してる人との関係性や、相手に対して何をすればいいのか考えるのが良いと思います。
生姜くん:そっか! 「食材」として関わってる時は、相手に「おいしい」と思ってもらえるように。「生薬」として関わってる時は、元気になってもらえるように! ボリュームを上げていくのが大事なんだ!
さかまさみ:いつもの元気な生姜くんだ!
どてらい:パワーがみなぎってるな~。
生姜くん:なんかスッキリした! 三人とも、ありがとな!
答えだけが、全てじゃない
どてらい:そんなわけで、そろそろお別れの時間ですが。生姜くん、楽しめた?
生姜くん:楽しかった! なんだか不思議と背中を押してもらえた気がする!
さかまさみ:よかった~! 実は私「答えになってるのかな」と思いながら喋ってましたw
ハマナカ:私たちは、答えを出すことより、問いを立て続けることに興味がありますからね。
生姜くん:そっか! 背中を押してくれるものは、答えだけじゃないんだ! 自分の立てた問いと、どう付き合うかが大事なんだな。
ハマナカ:そう考えると、養生と漠然は「自分の心身と向き合う」という意味で似てる気がしますね。
生姜くん:うおお! これは早く養生堂のみんなに伝えたい!
さかまさみ:待って待って! 最後のあいさつだけはして!
どてらい:それでは、生姜くんが飛び出しちゃいそうなので、本日はこのへんで! お相手は、どてらいと。
ハマナカ:ハマナカと。
さかまさみ:さかまさみと。
生姜くん:養生堂の生姜でした!
どてらい:それではみなさん、また近いうちに~!
アフタートーク
バク神:た……ただいまー。
さかまさみ:あれ? おかえりなさい、バク神さま。今日は一日、お休みだったんじゃ?
バク神:う……うん。そのつもりだったんだけど、元気になったらみんなの顔が見たくなって……。
ハマナカ:おお。なんか嬉しいですね。
さかまさみ:なんだか顔色も良くなってますね。毛並みがつやつやしてる。
どてらい:どこ、行ってきたんすか?
バク神:……ひみつ。
どてらい:えー、なんでー。
バク神:ふふふ。答えをすぐに求めちゃいけないよ。大事なのは、答えだけじゃないんだから。
どてらい:ん? どこかで聞いたような……。
ハマナカ:もしかして、バク神さまが行ったところって……。








なんとも素敵すぎる✨生姜くんが!
養生堂が✨
ナーーーンて意外な組み合わせなんだろ!