脳をつらぬく未曽有の甘み
みんなのドギルティ大全
子どもの頃のドギルティです。
当時、私は小5、弟が小3でした。母親が歯科衛生士だった私たち兄弟は甘いものを極端に制限された生活を送っていました。振り返ると冷蔵庫にある甘いものは生協のリンゴ酢くらい。おやつも祖母が作ってくれる、片栗粉に少量の砂糖を入れて、お湯で練った重湯と言わていたものを喜んで食べていたもんです。
そんなある日、私たち兄弟にドギルティがやって来ました。夏の暑い日、友達と下校途中に道路の真ん中に板チョコが落ちていました。友達たちが「うわ〜、チョコ溶けてるわ〜、きったね〜」と言う声に混じり、小さな声で「そうだねー」と答える、私。足早に帰り、弟に事情を話す。弟の目が光る。やるか兄貴!2人で自転車を走らせ、即現場に到着。少し潰れて、端から中身が出ているが銀紙に包まれている部分は大丈夫!まずは私から、太陽に照らされ、熱したフライパンのようなアスファルトに顔を近づけて、ヒトナメ。脳にズキュンと何かがスパークした。甘いを超えた恍惚感、拾い食いの背徳感、弟を巻き込んだ罪悪感、そして、先にナメる優越感。超ド級のミルフィーユドギルティが頭を突き抜けた。大人になり、有名パティシエが作ったチョコも数多く食べたが、後にも先にもあれを超えるスイーツには出会っていない。
報告日:6月16日
報告者:ピートン
発見の経緯
2026年6月15日~19日に行われたドギルティ大調査会にて、日本漠然研究学会調査員の ピートン|子育て研究員 が報告したドギルティ。
学会の研究
大分類
飲食類
中分類
禁断スイーツ
小分類
拾いチョコ
ドギルティの要素
制約解除
分析官ハマナカの考察
歯科衛生士である母親の影響で甘いものを制限された状況。
祖母のお菓子しか甘いものを食べたことがないという経験の乏しさ。
しかし、確かに抱いている未知の味わいへの興味。
さらに、「落ちていたチョコ」という、手を出すのもはばかられるものに手を伸ばす背徳感。
全ての要素が重なって初めて出会った「未知の味」。
この特大ドギルティは、大人でも耐えられない。貴重な体験として、宝物にしてほしい。
備考
記録官のどてらいは、このエピソードをたいそう気に入ったという。
「人生で一度しか出会えないドギルティが尊すぎる」。
また、調査官のクコの花養生堂は、この報告を見て「ミルフィーユドギルティ」と、独自の評価をしている。
とても鮮烈なドギルティに、学会は歓喜に沸いたのであった。
みんなのドギルティ大全 vol.1(2026年6月15日~6月19日)
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