電車、特に満員電車での位置取りを指す。トレ乗り学において、列車内の状況(外部環境)、自分自身のトレ乗りスキル(内部環境)を分析したうえでトレ乗りポジショニングマップのどの領域を目指すか決めることを推奨されている。
電車の中を「アリーナ」、「アリーナフロント」、「控え通路」、「ソデ」、「ダンスフロア」、とエリア分けし、有効なポジショニング&ムーヴのパターンを示しているのが特徴である。
発見者:ハマナカ
発見の経緯
「バク然らいぶらり」で、「トレ降り損のくたびれもうけ」について取り上げた際にハマナカが提唱したスキル。
電車に乗り慣れていないどてらいは、満員電車で自分の立ち位置を確保できないことに苦悩。
見かねたハマナカは、満員電車乗車時の状況をどてらいにヒアリング。すると、どてらいの場所の取り方がすこぶる悪いことが判明。
電車に乗り慣れているハマナカはコンサル神話の経験を活かし、ビジネス戦略のフレームワークであるSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)を下敷きにした「トレ乗りポジショニング」という概念で位置取りスキルを説明することにした。
トレ乗りポジショニング用語
電車の中を以下のようにエリア分けをする。
アリーナ(座席)
トレ乗りポジションにおいて不動の人気ナンバーワンであり、競争率が高い。ここに陣取るまでの道のりは過酷だが、一度座れば至福のトレ乗りタイムを過ごせる。
ある意味、トレ乗りポジショニングにおけるゴールのようなエリアである。
アリーナフロント(席前エリア)
「座席の目の前」を指す。アリーナゲットを狙う人々はもちろん、網棚を使いたいというニッチな目的でここに立つ人もいる。
一般的にアリーナの次に良いトレ乗りポジションであると言われている。
控え通路
アリーナフロントのすぐ後方。つまり、「座席の目の前に立っている人の後ろ」のエリアを指す。
一見すると地味だが、実はアリーナへの切符を掴むために超重要なポジション。ここへ到達するまでのスムーズさで、トレ乗りポジショニングの腕前が浮き彫りになると言われている。
ダンスフロア
乗車してすぐ広がっている控え通路までのスペース。トレ乗りポジショニングにおいて鬼門といわれている。
「乗車時直後に足を踏み入れる場所であること」、「一見、広く見えること」、「多くの人々が足を止めること」などから、このエリアに滞在してしまいがちになるが、それは罠。
多くのトレ乗り初心者が激しくうねる人の波に呑まれて心をへし折られた恐ろしい場所なのである。
逆にトレ乗りスキルが高まると、敢えてダンスフロアの中央に陣取って体幹を鍛える猛者がいるとかいないとか。
ソデ(控え通路)
ダンスフロアにおける、乗降口の横の狭いスペース。シートの端の仕切り板に寄りかかる形で立つ。
嵐の海のように荒ぶるダンスフロアで比較的流れが緩やかなエリアである。
ただし、当然のことながらこの場所に陣取り、滞在し続けるためには高いトレ乗りスキルが必要。下手をすると「トレ降り損のくたびれもうけ」の憂き目に遭う場合もある。
基本戦略
エリアによって特徴があるが、基本は人の流れを遮らない場所に陣取ることが肝要である。
特に満員電車に不慣れなトレ乗り初心者は、ダンスフロアの中でも控え通路に近い場所に陣取り、徐々に控え通路→アリーナフロント→アリーナと移動していくことが手堅いと言える。
また、次の駅で開くドアを把握しておくのも、人の流れを読み取るのに有効だ。天候によっては傘を持った人が増え、微妙にポジショニングを取りにくくなる場面も多くなる。
基本戦略は押さえつつ、刻一刻と変化する車内の状況と自身のスキルに合わせて臨機応変に対応する必要がある。
学会による研究
トレ乗りポジショニングの提唱者であるハマナカは自身の論文において、「満員電車は日本社会の縮図と言える」と、見解を述べている。
先行研究は、電車内マナー啓発ポスターや乗客の迷惑行為評価、ジェンダー化された車内空間の分析を通じて、電車が日本社会の縮図であることを繰り返し指摘してきた。
しかし、乗客自身が用いる実践的な「スキル」として、車内ポジショニングや移動経路の組み立て、荷物の扱い方などを体系的にモデル化した研究は乏しい。
日本漠然研究学会漠然分析官ハマナカ著 「現代日本の通勤電車における暗黙的ルールと「トレインスキル」 ―ダンスフロア空間をめぐる身体技法の社会学―」
論文内では特に、マナー啓発ポスターや車内アナウンスを通じる空間内の規律はもちろん、これらで啓蒙されていない乗客同士の「暗黙のルール」を理解する重要性を説いている。
日本の鉄道会社は長年にわたりマナー啓発ポスターや車内アナウンスを通じて望ましい行動を可視化してきたが、これらは単に企業の規範提示にとどまらず、都市公共空間における規律化の一形態として分析されている。
他方で、実際の車内では、ポスターに書かれない、しかし多くの乗客が「当然のこと」として共有する暗黙のルールが存在する。本稿が扱う「トレインスキル」とは、そのような暗黙のルールを身体技法として身につけ、状況に応じて運用する能力の総称である。
日本漠然研究学会漠然分析官ハマナカ著「現代日本の通勤電車における暗黙的ルールと「トレインスキル」 ―ダンスフロア空間をめぐる身体技法の社会学―」
論文内では「荷物マネジメントと身体領域」、トレ降り時の「降ります!」のバリエーションなど、トレ乗りがうまくできなくて悩む人々に希望を与える研究がふんだんに記述されている。
学会としては今後、都市部と地方のトレ乗り傾向の違い、禁じられた暗黙のルールの深掘りなどを進めていく考えである。
備考
どてらいはハマナカから指摘されてから、トレ乗りポジショニングの実践に取り組んでいる。
「外から見ると混んでいるように見えるけど、乗ってみると意外に控え通路が空いていることに気が付いた。今まではダンスフロアで溺れて視野が狭くなっていたから、そこに目を向けられていなかったんだと思う」。
曰く、「スライム以下だったレベルが、スライムまで上がった」とのこと。伸びしろがあるということにしておこう。
類義語
対義語
なし
参考資料
Podcast
論文
現代日本の通勤電車における暗黙的ルールと「トレインスキル」 ―ダンスフロア空間をめぐる身体技法の社会学―
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