再び始まった、恐怖の遊び「カタルタ」。
接続詞や副詞が書かれたカードをめくりながらひとつの物語を紡いでいくストーリーテリングに、ハマナカ、どてらい、さかまさみが挑む。
今回の舞台は、窓も何もない白い部屋。
そこから忍者屋敷、ウミガメ、受験勉強、天使と悪魔、中庸の人、マザーコンピューター、宇宙船、ロシアへと物語は転がり続ける。
いったい何の話なのか。
なぜウミガメは卵で世界を吹き飛ばすのか。
中庸の人とは何者なのか。
そして、母親とは本当に母親なのか。
混乱と伏線と四の字固めが飛び交う即興物語。
今日もお聴き流しください。
要約
00:00:00 カタルタでストーリーテリング
今回は、どてらい、ハマナカ、さかまさみの3人でカタルタのストーリーテリングに挑戦。
スタンダード版とストーリーテリング版のカードを混ぜ、前半と後半に分けて物語を作っていくことに。
勝ち負けを決めるのではなく、3人で協力してひとつのストーリーを完成させる。
だがしかし、始まる前からどてらいは妙に緊張。
さかまさみは最後のターンを嫌がり、ハマナカは途中でギブアップの気配を漂わせる。
心の準備もそこそこに、カードがめくられる。
物語の第一声は「どうやら俺は閉ざされた部屋に閉じ込められているようだ」。
ここから、長い長い迷走が始まる。
00:03:11 白い部屋、忍者屋敷、そしてウミガメ
主人公がいるのは、窓もない白い部屋。
美術館のようでもあり、モダニズム建築のようでもある。
壁を押したり引いたりして脱出口を探すが、何も起こらない。
3年閉じ込められたかと思えば、それは10分だったのかもしれない。
眠って目覚めると、大海原の島にいる。
そこから主人公は、自分がウミガメだったことを思い出す。
箱、缶切り、仮想世界、学生服。
ウミガメだったはずの主人公は、なぜか受験勉強から逃げている学生へと変わっていく。
もはや白い部屋とは何だったのか。
誰もわからない。
00:10:00 天使・悪魔・中庸の人
受験勉強をめぐり、主人公の前に天使と悪魔が現れる。
勉強しろと言う天使。
そんなものいるわけないだろと出てくる悪魔。
そして、なぜかその中央にもうひとりの人物が立っている。
いわゆる「中庸の人」である。
しかし、その正体は主人公の弟だった。
いや、兄であってほしかった。
なんなら3歳上の兄だったらよかった。
中庸の人という概念に、さかまさみの想像力が完全に引っかかってしまう。
後に「中庸の人」が「中東の人」めいたイメージになっていたことも明かされ、物語はじわじわ異国情緒を帯びていく。
00:17:32 裏山の小屋と赤いルージュの伝言
後半、主人公は母親の夕食から逃げるように、学校の裏山へ向かう。
そこにある小屋で、鍵のかかった本を発見。
なぜか再び缶切りを探し始める。
そういえば、主人公はいつも缶切りを探している。
手に入れた缶切りで本を開くと、そこには真っ赤なルージュで「もう終わりだね」と書かれていた。
怖い。
気持ち悪い。
ルージュの伝言どころではない。
背後でドアが開き、そこにいたのはやはり弟。
弟は言う。
「兄貴よ。君はこの世界のことをまだ何も知らないんだね」。
急にSFめいてきたぞ。
00:20:06 世界を吹き飛ばすウミガメの卵
弟によって明かされる衝撃の真実。
主人公は100年眠っていた。
世界では、ウミガメの卵が爆発し、地球の4分の1が吹き飛んでいた。
しかも、母親は夕食を作るふりをして、ウミガメの卵を爆弾に変える薬を作っていたらしい。
母親とは何者なのか。
そもそも人間だったのか。
主人公も本当に人間なのか。
話は、隔離施設、フラスコの中、人工知能、記憶のすり替えへと広がっていく。
やがて母親は、人間ではなく巨大なマザーコンピューターだったのではないかという説まで浮上。
母は夕食を作っていたのではない。
地球侵略の準備をしていたのだ。
たぶん。
00:30:09 死に戻り、コピー、ロシア遠征
主人公は何度も死に、何度も生まれ変わる。
しかし、生まれるたびに記憶が消えてしまう。
それは本当に自分なのか。
自分を変えるため、主人公は記憶を保持するプログラムを仕込むが、マザーコンピューターにはすべて見破られてしまう。
ところが、物語はさらにややこしくなる。
主人公は弟の体に記憶だけを植え付けられていた。
弟は宇宙決戦で特攻し、すでに死んでいたらしい。
主人公は弟の身体で、自分として生きることになる。
そして、弟の高い思考能力を使って、世界中に自分のコピーをばらまく。
北海道のコピーが反乱を企て、ロシアへ向かう。
サンクトペテルブルクに集まるコピーたち。
いよいよ、お母さんをやっつけに行く流れである。
00:36:30 海ガメの反乱、終幕
ロシアの地で、主人公たちは母親からのハッキング攻撃を受ける。
しかし、主人公はひらめく。
ロシア人コピーの記憶をロシア語にすり替えれば、古風な日本の主婦をモデルにした母親には読めないはず。
これでハッキングは攻略したも同然。
……と思いきや、全部聞かれている。
絶体絶命かと思われたその時、弟が生きていた。
そして弟が母親を殺す。
主人公は自由を得る。
寒空のロシアを歩きながら、物語は幕を閉じる。
なんだったんだ。
だが、終わった。
終わらせた。
拍手が起き、さかまさみは感動に打ち震える。
こうして、この物語は「海ガメの反乱」と名づけられた。
00:40:25 ストーリーテリング反省会
物語終了後、3人は今回のカタルタを振り返る。
前回のおみやげ邸カタルタでは、おみやげが抜群の調整力を見せていた。
改めて、おみやげの底力を痛感する一同。
テーマ性、舞台設定、白い部屋の使い方、脱出の目的。
いろいろ面白くなりそうな要素はあったのに、物語は停滞。
忍者屋敷、ウミガメ、受験、宇宙、ロシアへと飛び散っていくも、どれも深掘りが足りなかった。
特に「中庸の人」がよくなかったのではないか。
中庸の人なのか、中東の人なのか。
その混乱がさかまさみの調子を大きく狂わせた疑惑もある。
とはいえ、文字起こしにしたらホラー演出として生きるかもしれない。
次回は、もう少しテーマと舞台を練ってリベンジしたい。
カタルタ・ストーリーテリングの道は、まだ始まったばかりなのである。
漠然なる気付き
カタルタのストーリーテリングは、作る側が遊んでいるようで、実はカードに遊ばれている。
最初に置いた舞台設定は大事。白い部屋という強い導入があっても、深掘りしなければすぐにウミガメと受験勉強に飲み込まれる。
「中庸の人」は危険である。概念として強すぎるうえに、中東の人と混線する。
缶切りは便利だが、何度も出てくると物語の不穏な装置になる。
即興物語では、母親がマザーコンピューターになりがち。いや、普通はならない。
さかまさみは混乱しながらも、最終的に物語への感動へたどり着く強い鑑賞力を持っている。
おみやげの調整力はすごかった。前回のカタルタが成立していたのは、かなり彼の手腕によるところが大きい。
今回の物語は飛び散った。だが、その飛び散り方にしか出ない奇妙な味がある。
カタルタは、テーマ、舞台、ルールをもう少し設計すると、かなり面白い遊びになりそうだ。
第39回は、白い部屋から始まった即興物語が、ウミガメ爆弾、マザーコンピューター、ロシア遠征へ転がっていく、カタルタに振り回される大人たちの記録である。
本日の漠然マイスター
ハマナカ
紙折り人。DJやプログラミングもする。折り紙デザインスタジオ Kamiori-Studioを運営している。漠然スタイルは「神降ろし」。0から1を作ることに没頭しているうち、その身に神を宿す術を習得しつつある。マイスターとしては研究家気質で、他人の漠然感の分析に余念がない。
どてらい
物書き。空手やたこ焼き職人もする。主に雑誌『散歩の達人』で執筆、トンチキ企画担当。最近、古畑任八郎という人格が発現した。漠然スタイルは「イタコ」。グッと集中すれば他の人格を憑依させられるし一時的な記憶の塗り替えも可能。自分を単なる容れ物と考えているイカれた男。
さかまさみ
写真家。ガスメーターをこよなく愛するガスメーター大好きお姉さん。焼き魚との対話に悩む繊細な性格。
漠然スタイルは「一期一会」。ファーストコンタクトのインパクトが大きければ大きいほどまっしぐらに走る。まさに「思い込んだら一直線」の瞬間最大風速系マイスター。
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