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ロン・ミュエク展で垣間見た「撮影の暴力性」
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ロン・ミュエク展で垣間見た「撮影の暴力性」

目が合わない彫刻たち ~ロン・ミュエク展へ行ってきた~ 漠然#37

今回は、ハマナカ、どてらい、さかまさみの3人で、六本木・森美術館の「ロン・ミュエク展」へ。

「イン・ベッド」の巨大な女性、「エンジェル」の羽を持つおじさん、見る角度で印象が変わるカップル。

本物の人間と見まごうほどリアルな肌、毛、表情。

今にも動き出しそうな彫刻たち。

だがしかし、彼らからは呼吸を感じられない?

目が合わない彫刻たちに宿る魅力に迫る。

3人はリアリズム、不気味の谷、視線、撮影することの暴力性、そして“緊張感が生む美しさ”について語り合っていく。

今日もお聴き流しください。

要約

00:00:00 ロン・ミュエク展へ行ってきた

今回はハマナカの発案で、どてらい、さかまさみとともに、3人で六本木・森美術館の「ロン・ミュエク展」へ。

ロン・ミュエクといえば、非常に写実的な人体彫刻で知られる作家。

会場には、大小さまざまな人物像に加え、制作過程の写真や映像も展示されていた。

肌の質感、毛、体の造形まで本物の人間のように作り込まれた作品を前に、3人はまず「これは本当に彫刻なのか」と驚く。

00:10:11 見る角度で変わる彫刻の表情

ロン・ミュエクの作品は、見る角度によってまったく違う印象を与える。

カップルの彫刻は、正面から見ると寄り添う恋人同士のようだが、裏側から見ると男性が女性の腕を強くつかんでいるようにも見え、支配性や暴力性が立ち上がる。

顔も、正面、横、下から見ることで表情が変わる。

人間の表情が角度によって変わって見えるように、彫刻にも複数の読み取り方が仕込まれている。

00:20:18 撮影できることの暴力性

会場では作品を撮影できる。

しかし、そこで3人は少し不思議な違和感を覚える。

目の前にいる人間のような存在。

動けない彼らを好きな角度から、近づき、覗き込み、部分を切り取って記録する。

撮影という行為は、どこか暴力的で、彫刻のリアルさも相まって、妙な生々しさをいだくことに。

見ること、撮ること、所有することの感覚が、作品の前で揺さぶられる。

00:30:00 硬さと緊張感が生む美しさ

話題は作品に感じる硬さや緊張感の美しさへ。

柔らかそうに見える肌や布も、彫刻である以上、実際には動かない。

そこには、現実にない張り詰めた何かが宿っている。

静止しているのに、力が込められている。

動かないからこそ、次の瞬間に何かが起きそうに見える。

不穏さ、サスペンス、緊張。

そのぎりぎりの状態が、怖さでありながら美しさにもつながっているのではないだろうか。

00:40:00 動かないものが、頭の中で動き出す

彫刻は動かない。

けれども、鑑賞者の頭の中では動き始める。

硬直した姿勢や止まった時間があるからこそ、その前後の動きや物語を想像してしまう。

それは、不気味さとエネルギーが同時に存在する暗黒舞踊のよう。

動かないものの中に、今にも動き出しそうな力を感じる。

その境目の緊張感こそ、今回の展示で3人が強く受け取った美しさのひとつだった。

00:44:01 近くで見るか、遠くで見るか

ロン・ミュエクの作品は、距離によって印象が大きく変わる。

近づけば、肌、毛、爪、腕などのディテールが驚くほどリアルに見える。

ところが少し離れると、全体のサイズ感や情報量のズレによって、逆に違和感が強くなることもある。

近くで見る身体と、遠くから見る人間像。

そのどちらも正しく、どちらも不完全。

鑑賞者の距離が、作品のリアルさを変えていく。

00:53:30 ロン・ミュエク展、行くなら誰かと語れ

ひとりで見ている時には、自分の視点だけで受け取ってしまう。

しかし、誰かと話すことで、目が合わないこと、角度による印象の違い、撮影の暴力性、硬さの美しさなど、自分だけでは拾いきれなかった見方が立ち上がる。

ロン・ミュエク展は、作品を見るだけでなく、見たあとに誰かと話すことでさらに深まる展示だった。

漠然なる気付き

  • リアルすぎる彫刻は、人間らしさだけでなく、人間ではなさも同時に浮かび上がらせる。

  • 目が合わない彫刻には、こちらを見ていないからこその不穏さがある。

  • 見る角度が変わるだけで、関係性や感情の読み取り方まで変わる。

  • 撮影できる彫刻は、鑑賞対象でありながら、どこか「動けない人間」を切り取っているような生々しさを持つ。

  • 動かないものを見ると、人はその前後の物語を想像してしまう。

  • 硬さ、静止、緊張感は、怖さだけでなく美しさにもつながる。

  • 作品との距離が変わると、リアルさの質も変わる。近くで見る身体と、遠くから見る人間像はまったく違う。

  • 展示は、見るだけで完結しない。誰かと語ることで、自分の中になかった見方が立ち上がる。

  • 第37回は、ロン・ミュエク展を通じて、リアリズム、不気味の谷、視線、撮影、緊張感が生む美しさを語る回だった。

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ハマナカ

紙折り人。DJやプログラミングもする。折り紙デザインスタジオ Kamiori-Studioを運営している。漠然スタイルは「神降ろし」。0から1を作ることに没頭しているうち、その身に神を宿す術を習得しつつある。マイスターとしては研究家気質で、他人の漠然感の分析に余念がない。

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物書き。空手やたこ焼き職人もする。主に雑誌『散歩の達人』で執筆、トンチキ企画担当。最近、古畑任八郎という人格が発現した。漠然スタイルは「イタコ」。グッと集中すれば他の人格を憑依させられるし一時的な記憶の塗り替えも可能。自分を単なる容れ物と考えているイカれた男。

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写真家。ガスメーターをこよなく愛するガスメーター大好きお姉さん。焼き魚との対話に悩む繊細な性格。
漠然スタイルは「一期一会」。ファーストコンタクトのインパクトが大きければ大きいほどまっしぐらに走る。まさに「思い込んだら一直線」の瞬間最大風速系マイスター。

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